精日 2019 2 10

 親日でもなく、反日でもなく、
知日でもなく、精日とは。
 成功を求める中国人はアメリカを目指し、
それ以外を求める中国人は日本を目指すのかもしれません。
たとえば、伝統や文化、環境、自然などが考えられるでしょう。

書名 精日
著者 古畑 康雄  講談社プラスアルファ新書

 著者によれば、「精日」(精神的日本人)とは、
日本人や日本社会の生活様式、文化、価値観を高く評価し、
自らの生活にも取り入れることで、
できるだけ(彼らの考える)日本人に近づこうとする、
外国人(実際には中国人)のことです。
 これに対しては、中国共産党指導部は、一定の警戒心があるでしょう。
そもそも、共産主義とは、行動様式において、一種の宗教に近いものがあります。
行動や思考において、共産主義に対する「信仰」や「称賛」を求めるからです。
 しかし、精日が流行すれば、
共産主義(共産党)に対する「信仰」が揺らぐことになります。
 近年の中国共産党において、「反日」が一種の「教義」でした。
このような教義ができたのは、
党内基盤が弱かった江沢民氏が最高指導者になり、
自らの権力基盤を固めるために、
外に敵を作り出すという古典的な手法で、
「反日」を推進するどころか、「教義」にまで高めていったからです。
 そもそも、歴代の最高指導者である毛沢東も周恩来もケ小平も、
「親日」あるいは「知日」だったのです。
 しかし、最近、「反日」という教義が揺らぎつつあるのです。
それは、中国人の「日本旅行」が激増したからです。
 学校で学んだ「反日教育」やテレビの「反日ドラマ」に対して、
実際に日本に行ってみると、大きなギャップがあることに、
多くの中国人は、驚いたのです。
つまり、「教義」と「現実」の違いに驚いたのです。
 もちろん、日本に旅行できない「貧困層」の中国人は、
相変わらず「反日」が続いています。
「また、日本軍が攻めてくるのではないか」という不安感があるでしょう。
 第二次世界大戦の時は、
たった一人の日本兵がいると聞いただけで、
多くの中国兵が逃げ出したという逸話があるくらいです。
 しかし、もはや中国大陸に攻め込もうと考える日本人は、一人もいません。
両国の国民を不幸にする「反日」はやめるべきです。
もはや「反日」は時代遅れです。

日中友好の暗転 2013 4 28

書名 中国人による中国人大批判
著者 金 文学  祥伝社黄金文庫

 さっそく、この本から引用しましょう。
「国策としての反日」
「反日は、いつから始まったか」
 反日の深層を探るための最も有効な方法は、
毛沢東・ケ小平時代と江沢民・胡錦濤時代を比較することです。
 一言で言えば、
前者は、親日的で柔らかい対日観に支えられていたのに対して、
後者は、反日的で強硬な対日姿勢であるという対照があります。
 つまり、中国政府と執政者の対日政策によって、
親日・反日の境界が、はっきり分かれるのです。
 新中国の成立後、毛沢東の中国政府は、
親日で穏やかな対日姿勢でした。
 ケ小平時代も、四つの近代化建設のため、
日本が最大の近代化モデルであり、
日本は、よき学習と合作のパートナーでこそあれ、
悪ではなかったのです。
 しかし、1990年代から、江沢民政府となって対日姿勢は豹変します。
それには隠された秘密があります。
政権の腐敗や失敗、山積した国内の矛盾に対する国民の不平や不満を、
外に誘導するという目的から、反日が、最も有力な利用手段として浮上したのです。
 1990年代から現在まで、中国人の反日感情が急上昇した原因は、
中国政府の意図的な反日感情の操作とプロパガンダにあります。
 国内の混乱をまとめるため、
一致団結してアタックする敵として、
ふさわしい条件を備えたのが日本だったわけです。
 反日プロパガンダのため、
中国政府が徹底的に実施したのが、「反日教育」です。
 とりわけ、1990年代からの教科書が「反日」洗脳教育のため、
人為的に作られました。
 1994年から、江沢民主席の直接指示の下、
全国レベルの愛国主義キャンペーンが繰り広げられ、
1995年には、抗日戦争勝利50周年の記念キャンペーンを行い、
全国津々浦々で「抗日記念館」「抗日烈士碑」「抗日戦争遺蹟」などの建設が、
著しく増加しました。
(以上、引用)
 著者は、この本で、江沢民氏を批判していますが、
私は、江沢民氏には同情しています。
 当時、江沢民氏は、党内の権力基盤が弱かったので、
「反日」を利用した面があると、私は思っていました。
党内の権力基盤が強ければ、「反日」を利用する必要はなかったのです。
 今後も、中国の指導者は、党内の権力基盤が弱く、
国民の支持も弱いので、「反日」姿勢が出てくると思います。
 もう一度書きますが、
党内の権力基盤が強く、国民からの人気が高ければ、
「反日」を利用する必要はありません。

































































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